人事について考える

人事に来て数年、採用やら育成やら評価やら、色々思ったことをつぶやきます。それ以外のコトもつぶやきます。

就活に向け、「自己成長のエンジン」を搭載すべき

本日、こんな記事を読みました。


学業に力注いだ学生は就活有利 面接官の鋭い質問に困らないために (1/5ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)


これって、結構当たってるなと、採用経験者としては思います。

 

就職活動のライバルは日本人だけでは無くなってきた


新卒外国人採用増やす 東芝3割、ローソン2.4倍 :日本経済新聞


枠が仮に50人新卒を採る会社があったとして、そのうち30%が外国人だとすると、日本人枠は35人。これって結構すごいことだと、やっている側からしても思う。

日本人の雇用を増やす気が無いのか?と思われるかも知れないが、

  • その企業がグローバル市場で勝ち上がるために、ターゲット市場に詳しい人材の確保。また、グローバルなビジネスで戦うためのビジネスコミュニケーションスキル。これは、英語力とそれに加えてコミュニケーションそのものの力の両方だ。
  • その企業の中で、多様性を高めていくため。日本人のみの考え方では、グローバルな市場で勝つためのイノベーションは起こせない。多くの様々な考え方がぶつかる必要がある。
  • そういった中で、そもそもいる日本人人材をグローバル人材へ育成するための場を日本の本社・支社の中に作っていく。(今までは海外へ転勤とかしないと無かった)
  • そもそも、日本人よりも優秀。それは、素地の問題では無く、習慣の問題のように思う。大学時代にかたやサークル・バイトに明け暮れていた人材とかたや寝る間も惜しんで競争社会の中で努力・勉強していた人材。

上記のような理由により、少なくともグローバル市場に打って出る企業は現地から採用するのか、留学生なのかは置いておいて、外国人の採用を増やすだろう。

本当に日本人よりも外国人の方が優秀なのか?

ここからは、完全に私の経験値でしかない。
個々で見ると、日本人の優秀な人材と、外国人の優秀な人材とで差はあまり無いと思う。ただ、優秀な割合は外国人の方が圧倒的に高いように感じた。

どういった点で感じたかというと、1年目社員との配属前の面談でだ。

外国人たちは仕事に必要な知識を事前に調べ、どんどん勉強しようとする人が多かった。勉強しないと不安、自分の課題は自己分析もした上で、人事の目からも何かあれば教えて欲しい、ととにかく自己成長に対して貪欲だった。

かたや、日本人たちは、「勉強するってこんなに楽しいことだったんですね!」と仕事と勉強が結びついてようやく勉強の習慣がつくか、つかないかと言う人が少なくない人数居た。特に、文系・学部卒にこの傾向は顕著だったように思う。

何度も言うが、全員では無い。自己成長に貪欲な優秀な日本人も多い。ただ、割合で見ると、外国人10人と、日本人20人を採用したとして、

外国人は8人が努力家で優秀。

日本人は10人が努力家で優秀。

すっごくアバウトな感覚値なのだが、こんな感じだ。

大事なことは、「自己成長のエンジン」を搭載しているかどうか

冒頭の記事では、

就活は学生だけではなく、企業や大学を含む問題である。ともに「学業or就活」から「学業=就活」へと思考転換し、“学業を含む学生生活の活かし方”と“柔軟な就活の進め方”を考えていく必要があるだろう。

 とあるが、個人的に採用面談をしている際に大事にしていることは、「自己成長のエンジン」をその面接している相手が搭載しているか?だと思っている。

サークルでも、バイトでも、学業でもかまわない。

どのように考え、どのように試し、どのような結果が出て、次にどのようなアクションをするのか。そして、その中で何を学び、何に気づき、何が自身の価値だったのか。PDCAを自分なりにどのように実践していたか、どんな目的のためにやっていてそれは達成されたのか?と言うことが大事だと思う。

学生に上記のことを聞いたり、強いたりするのは酷なのかも知れない。私も学部卒の状況では何も考えずにサークルに明け暮れていた人なので、上記の観点で面談されていたら今のような状況にはたどりつかなかったように思う。(大学院に進学したおかげで、勉強癖がつきました)

ただ、それを強いる時代に来てしまっているのです。なぜなら、枠を競う相手にそういう文化の人が来てしまっているから。そして、彼らは、大学にて専門スキルを高めきっている、勉強習慣を身につけている人材たちなのです。

となったときに、サークルでも、バイトでも、学業でもかまわないのですが、学業が一番上記のようなことを実践し、自身の自己成長につながるのではないかと思うのです。

 

私が偉そうに言うのもはばかれるのですが、自己成長のエンジンを今の学生の皆さんには身につけておいていただきたいと切に思います。そうすることで、どの企業に就職されたとしても、自身で吸収し成長される人材になられると思います。また、そういった要素は、欲しい人材像の一つに必ず入ると、私個人としては思います。

 

人事に向く人、向かない人

私なりに考える、人事に向く人、向かない人の人物像を考えてみたいと思います。

と言うのも、若手社員と話していると「いつか人事部に行きたいんです!」という人は1〜2割程度は居るんですが、行きたい人ほど向いていないのではないかと思う今日この頃なのです。

 

人事に向かない人

あえて先に向かない人から考えてみたいと思います。

  1. 人事権を権力として利用する人・・・最近話題のドラマ「半沢直樹」を見ていて人事の印象悪くなるなー、と思うわけです苦笑 「私は人事部の次長だよ」「君の行動次第で出向が決まる」みたいな事言うようなのはわかりやすい最悪な部類ですが、そうでなくても「俺がお前の異動の世話してやった」や、「俺に人事権があるってわかってあんな態度なのかあいつは」的な人は少なからず居ます。もちろん、希望通りの異動をその人にするというのはかなりの労力が居るので、恩に着せたくなる気持ちもわからないことも無いですが、それを声に出してしまうようなマインドの持ち主はNGかと思います。

  2. 現場を理解していない人、机上の空論しちゃう人・・・冒頭に書いた、「いつか人事に行きたいんです!」クラスタへのアンチテーゼになるのですが、現場を理解せず、何かのフレームワークや、どこか本で読んだだけの話をそのまま試しちゃったりするような人は、結局現場にそっぽを向かれてその施策がぽしゃってしまいます。現場の最前線で大活躍するような人が人事に来てこそ、現場の人が動きやすい施策を打てるのではないかと思います。

  3. メンタルが強くない人・・・昨日の記事にも書きましたが、「人の事」を扱うため様々な事柄を扱います。それこそ、あり得ないと思っているような様々な事があります。また、会社全体の一つの骨でもあるため、責任が大きい仕事も少なくありません。精神的にかなりタフ、もしくは、自分の限界をちゃんと知っていて、限界一歩手前で、(気持ち的に)逃げる・開き直る・避けることが出来る人と言うことが大事かと思います。

人事に向く人

基本的に、上記のひっくり返しになりますが、、、

  1. 人を大事にする人・・・「人事権を行使する人」というのは、見方によっては「人をコマとして見る人」でもあるかなあ、と思います。もちろん、大きな会社では、一気に多くの人を動かすこともありますので、コマに見えることも否定はできません。そんな状況下においても、できる限り一人一人の属性・指向性・経験値・スキル等を鑑みて、最善を尽くす事が出来る人、というのがとても大事だと思っています。
  2. 現場の最前線で活躍している人・・・これは上記にもほぼ触れているので割愛します。
  3. ポジティブかつある程度楽観的な人・・・繰り返しになりますが、重い話が多いため、うちのチームは、雑談やランチではできる限りどうでも良いこと・アホなことを無意識にしているように思います。また、基本的にハプニング続きなことが多いのですが、そういった中でも、理由や犯人捜しよりも、解決に集中することが出来る人が多いように思います。
  4. 何かしらの、「想い」を持ってる人・・・社会に対してなのか、個人的になのか、夢なのか野望なのか、それらのどれでも良いと想うのですが、何かしら熱い想いを秘めてる人は、人事な人にしろ、そうでないにしろ、人を惹きつけて、巻き込んで仕事を出来るのでは無いかと想います。
  5. 人事部・人事権の力の大きさは理解している・・・権力として利用することはしないまでも、やはりとても力は強いことは事実です。人の人生を左右する事柄を決めるわけなので、、、なので、ちょっとした発言にも気をつけることはとても大事です。親しい友人にかるーく選択肢の一つとして話したつもりでも、相手はもう「人事の人」として見ていて、簡単に「人事のi-kuraさんが言っているかなり確度の高いネタ」になってしまいます。と言うわけで、口が堅いことは結構重要です。

色々書きましたが、、、

書いていて、人事部に限らない要素もあるなあ、と想いましたが、一番大事な要素は、向く人・向かない人ともに、一番の要素であると想います。

「人事を権力として使わず、人を大事に動く」

これが大事だと想っています。

人事に来て良かったこと・良くなかったこと

実はよく誤解されるのですが、人事部には希望してきたわけではありません。

と言うか、私の会社の場合、人事に来ているほとんどの人が希望してきていません。

数年居て少しわかってきたのは、現場の中でも思いっきり前のめりでやってるような人が人事部に選ばれているような感があります。

 

そんな中で、希望していないが来て良かったこと、良くなかったことを綴ってみようと思います。

 

良かったこと

  1. 周りの人がよく働く人たちである・・・社会人歴約10年の中で、今のチームが過去最高にパフォーマンスを発揮する集団だと痛感しています。本当にみんなよく働く。また、基本的にポジティブ。何かトラブルがあっても、ブーブー言わずに(言うこともあるが)、解決策をみんなで考えることができる。こぼれ球を互いに拾い合い、目標に向かって一気に突進する。最高のチームだってことだけは自負できます。

  2. 多くの人とふれあうことが出来る・・・人事部の一番の醍醐味はここだと思います。望むと望まないと、様々なセクションの様々な人たちと仕事をすることになる。また、採用面接・キャリア面談・昇進面接・退職面談などなど、様々な面談を行い、ざっくり数えても200人は超えたなあ、と思います。そういった薄い関係から濃い関係まで多くの人脈を作ることが出来るのはとても良かったです。

  3. 人を見る目が養えた・・・上記の通算200人越えの面談・面接を行っていくとあまり人を見る目が無かった私でも、何か定性的な人事スカウターのようなモノが自分の目にできあがったように感じます。

良くなかったこと

  1. 望んだキャリアでは無い・・・やはり冒頭に綴りましたが、望んだキャリアでは無いため、モチベーションの維持、ならびに、そもそもの自身のキャリアの道筋に対するスキル低下に関する不安と言う二点が非常に辛い、と言うか、大変です。モチベーションについては、上記のようなスカウタースキルが取得できるなど、望んで経験出来るような仕事でもなかったり、また、チームが良い・いろいろな人脈が増える・好きに仕事させてもらえる、と言った点で何とかまかなっているように思います。スキル低下については、個人的にどうにかする以外に無いと思っています。このようにブログを書き始めている理由の一つに、スキル維持もあります。

  2. 「人の事」だけに重い話ばかりでストレス・・・「人の事」にとにかく関わっていきます。退職やメンタル、ハラスメントと言った話もそうですし、希望とはかなり方向が異なる異動を強いることもあります。その人が昇格するかどうか、採用されるかどうかという事は、その人の人生の決して小さくない面を左右します。だからこそ、真剣に悩み、真剣に判断しているわけですが、正解はもちろん無く、またPDCAも回しにくいため、非常に難しくストレスを感じる仕事だなあ、と思います。

  3. スカウターが自動的に発動する・・・友人と飲んでいても、上記の人事スカウターが発動することがあります。そいつの良い面が多く見えるように動けば良いのですが、今までは気づかなかった悪い面を多く発見してしまうようなことが時たまあります。そういったときに非常に萎えます。

まとめ

総論的には、「最初は嫌だったけど、やってみて経験できて良かったなあ、やりたいとは思わないが、向いているのかもしれない」と感じました。そのため、今後のキャリアについても、人事で貫くか、現場に戻るのか、悩むところです。

ブログ立ち上げてみました

こんばんわ。

i-kuraと申します。

某IT系のそこそこ大きめな会社に就職して、およそ10年。

もともとサービス開発系の志向・部署にいましたが、何が理由かわかりませんが、人事という部署に異動になり早3年です。

採用活動をさせてもらったり、社員の育成企画に携わらせていただいたり、今は海外の人事にも関わっています。

 

身バレはしたくないので、抽象度を高めてとある大企業の一例を見た上で、個人として感じたこと、面白いなと思ったこと、イケてないなと思ったこと、変えたいなと思ったこと、学生の方に知って欲しいなと思ったこと、等々を適当にぼやかしながら綴っていければと思っています。

 

ずっとブログ立ち上げたいなあ、と想いながら早3年です。
夏休みで悶々とした気持ちが爆発したような、そんな気持ちでいます。

 

とりあえず、頑張って書いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。